仙台うみの杜水族館(宮城県)|ジェンツーペンギンとにらめっこ!
2017/04/14
目次
東北最大の都市「仙台」は、またの名を「杜の都」として良く知られる。江戸時代に伊達政宗の推奨を受けて植林が実施されて以来、街は豊かな緑と共存してきた。
豊かなのは都市部だけではない。三陸の海岸、そして海中は、豊かな自然と美しい生き物たちで溢れている。2015年にオープンした「仙台うみの杜水族館」は、美しい東北の海をはじめ世界の海の魅力を、様々な生き物の展示や触れ合いを通して伝えている。
足の先から頭まで!ゆっくりじっくりペンギン観察
うみの杜水族館では、1階に「日本のうみ」、2階に「世界のうみ」をそれぞれ展示している。2階にいるペンギンの種類は8種類と非常に多く、ペンギン好きとしては喜びを隠しきれない。2015年に惜しまれながら閉館した「マリンピア松島水族館」にも沢山のペンギンがいたが、その多くは「うみの杜水族館」でいまも元気に過ごしている。
人懐っこいジェンツーペンギン
好奇心が旺盛なペンギンの筆頭にジェンツーペンギンがいる。動くものに興味津々といった様子で、羽を広げて走り寄ってくる可愛さは、筆舌に尽くし難い。ここは筆の力より文明の利器、迷うことなくカメラを構え、収めた姿がこの1枚。
こんなに可愛いペンギンショットが撮れるのは、私の腕がいいから! そう胸を張りたいところだが、実はペンギンプールの構造が、撮影や観察に都合良く作られているのだ。
海獣ひろばに設置された一番大きな水槽には、大きなガラスの窓が2面ある。一方からはプールで泳ぐペンギン(写真1)、もう一方からは陸に立つペンギンが見える(写真2)。陸側では、自分の顔とペンギンの顔が同じくらいの高さになる。ペンギンの顔をまじまじと覗き込んだり、足やお尻といった細部までじっくり観察できるのが嬉しい。
キングペンギンのヒナは、成鳥より巨大!?
うみの杜水族館で私の長年の夢が1つ叶った。その夢とは、キングペンギンの成鳥とヒナのツーショットを見ること。2016年の夏に生まれたキングペンギンのヒナはすくすくと成長し、今やその大きさは成鳥を上回ろうとしている。
外見の特徴が似ているため、キングペンギンの成鳥は皇帝ペンギンの成鳥と見間違われることも多い。しかしヒナに関しては、決して見間違われることはない。皇帝ペンギンのヒナは白いゴーグルをかけた雪だるまに似ているが、キングペンギンのヒナは、例えるなら台所にある茶色いタワシのようだ。
タワシはタワシでも何故か胸がトキメクほど可愛い、と追記しておこう。
小粋なヘアスタイルに注目!イワトビ&マカロニ
頭に黄色いヘア(冠羽)をなびかせて歩くペンギンがいたら、それはユーディプテス属のペンギンである。彼らは喧嘩っ早いことでも良く知られる。うみの杜水族館では、「イワトビペンギン」と「マカロニペンギン」の2種に会うことができる。
2016年12月現在、マカロニペンギンは1羽しか確認できなかったが、ポイントさえつかめば2種の見分けは難しくない。一番の違いは頭の黄色い冠羽にある。イワトビペンギンの冠羽が両目の上から生えているのに対し、マカロニペンギンの冠羽は、額の真ん中から頭の両脇に流れるように生えている。髪型に例えるなら、イワトビペンギンはトサカヘアー、マカロニペンギンはオールバックといったところだ。また、クチバシにも違いがある。イワトビペンギンに比べ、マカロニペンギンのクチバシは大きくてやや太い。2種の見分けに迷った時は、髪型と口元を是非チェックしていただきたい。
コガタペンギンの仲良しトリオ
イルカショーが行われるプールにほど近い室内で、3羽のコガタペンギンが暮らしている。彼らは、「かしわ」「ずんだ」「くるみ」といったお餅にちなんだ名前を持つ。彼らの動きが最も活発になるのは、大好きなアジがもらえるお食事の時間だ。「世界のうみのごはんタイム」という演目で、飼育員さんが餌やりとペンギンの解説をしているので、スケジュール表をチェックして頂きたい。
食事の時間の興奮っぷりをちょっぴりお見せしよう。飼育員さんの手に飛び込んで羽をふるわせ、甘えるような、ねだるような仕草を見せる。これが本当に可愛い。
お食事が終わればご覧の通り、ちっちゃな満足顔を3つ拝むことができるはずだ。
他にも「マゼランペンギン」「ケープペンギン」「フンボルトペンギン」に会える予定だったのだが、この日は残念ながら鳥インフルエンザの影響で、外の展示や触れ合い体験は中止されていた。ペンギンがガラスの階段を行き来する姿を眺めたり、ペンギンに餌をあげたりできなかったのが悔やまれる。そうは言っても仕方がない。ペンギンの敵はアザラシとインフル、覚えておこう。
ペンギンのモーリー
うみの杜水族館のキャラクターペンギン「モーリー」
うみの杜水族館の公式キャラクターにペンギンを選んでくださった関係者の皆様に、この場を借りて厚く御礼を申し上げたい。表情もフォルムも癒し系の「モーリー」は、うみの杜水族館きっての人気者である。赤いパンツに緑の帽子(上の写真はクリスマス特別バージョン)といったカラフルな見た目だが、実は南極出身の南極育ち。特技はスケートで、笹かまぼこと長なす漬けが好物だという。なんだか気が合いそうである。いつか宮城県の蔵元「一ノ蔵」の「すず音」を片手に、心ゆくまで飲み明かしたいものだ。
ペンギングッズが大集合!充実のお土産コーナー
うみの杜水族館で、超個人的ペンギン史を塗り替える出来事があった。水族館でのお土産代の合計が、過去最高額を記録したのだ。モーリーのオリジナルグッズをはじめ、初めて目にする魅力的なペもの(ペンギングッズ)を前に、顔と財布のヒモは緩み、私は諭吉を何のためらいもなく手放してしまった。
金銭感覚が麻痺した要因の多くはこのペンギンにある。
宮城県では「宮城伝統こけし」という工芸品が多数生産されており、国の伝統的工芸品に指定されている。このペンギンこけしは、「しまぬき」という明治25年創業の老舗と、うみの杜水族館がコラボレーションによって生まれた。なんといっても首が傾いているのが良い。正面顔なのも良い。ヒナがいるのも良い。後ろにしっぽがあるのも良い。木の手触りが、色合いが良い。全てが良いのだ。しかも2017年は酉年、つまりペンギン年ときた。
こうして約4000円のこけしのペンギンは、我が家の一員となった。可愛さのあまり毎日撫で回すせいで、買った当時より少し艶がでた気がする。
水族館の見所「おすすめベスト3」
ここまでペンギンのことばかり語ってきたが、もちろんペンギンの展示以外にも沢山の見所がある。最後に自称水族館マニアの私が、特に感動した展示「ベスト3」をご紹介する。
●東北の海を知る「大水槽」
「日本のうみ」の展示コーナーに、うみの杜水族館でもっとも大きな水槽がある。1階と2階を貫くほどの巨大な水槽の中には、サメやマンボウ、イワシの大群など様々な生き物たちが生息する。まるで三陸の海をそのまま切り抜いたかのような空間だ。
●輪っかで遊ぶ「イロワケイルカ」
ペンギンとは白黒のよしみである「イロワケイルカ」。国内で展示されている場所は少なく、非常に貴重な出会いである。体重は40~65キロ・体長は1.5mで、そのサイズ感は人間の女性に似ている。モノトーンでスタイリッシュなボディーとは裏腹に、性格はやんちゃで活発。フラフープを口にくわえたり、見物人のそばによってきたり、眺めるほどに可愛い一面が見えてくる。
●芸達者な「アザラシ」
1階の食堂脇のプールで泳ぐアザラシをよく見て頂きたい。スルスルと水の中を泳いでいるアザラシが、時々手を振ってくれるのだ。見ることができれば、ラッキーである。
アザラシの隣にはペンギンのプールがあるので、そちらもお見逃しなく。2階の海獣ひろばのプールは1階まで繋がっていて、生き物たちが縦横無尽に水の中を動き回っている。ペンギンたちは食事をすると陸で寝てしまうので、泳いでいる姿を見たいなら、ペンギンがご飯を食べる前がおすすめだ。
Text:水鳥 るみ(フリーランスライター)
仙台うみの杜水族館(宮城県)の基本情報
下記の情報は、2016年12月現在の情報です。
●ホームページ
http://www.uminomori.jp/umino/
●ペンギンの種類
・キングペンギン
・ジェンツーペンギン
・イワトビペンギン
・マカロニペンギン
・フンボルトペンギン
・マゼランペンギン
・ケープペンギン
●営業時間
季節によって営業時間に変更あり
●入場料金
大人(18才以上):2,100円
中高生(12〜18才):1,600円
小学生(6〜12才):1,100円
幼児(4〜未就学児):600円
シニア(65才以上):1,600円
●アクセス
〒983-0013 宮城県仙台市宮城野区中野4丁目6番地
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