横浜・八景島シーパラダイス|7種のペンギンと出会える水族館
2017/01/24
目次
釣り船やボートが停留する海岸線を抜け、幾つかの公園を過ぎ、立ち並ぶ家の屋根を見下ろして、列車は静かに進んで行く。今回の旅の目的地は、横浜市の人口島に作られた八景島シーパラダイス。500種・10万点もの生き物が暮すこの場所は、ペンギン好きはもちろん、生き物を愛する人にとってのパラダイスである。
ガラス越しに見るペンギンの世界
大きな三角形の屋根が目を引く「アクアミュージアム」、その1階にペンギンの水槽はある。まずは歓迎のご挨拶とばかりに、入り口付近にある「多目的水槽」には、3羽のイワトビペンギンがいる。しかし、メインの水槽はもっと奥だ。ハイイロアザラシ、アラスカラッコ、ホッキョクグマ、セイウチといった大型の動物たちの前を通り抜けた一番奥に、大きくて広いペンギンの世界がある。
潜水するペンギン
ペンギン好きにとって、ペンギンの仕草や表情はどれも可愛い。しかし、こと水中のペンギンに関しては、「可愛い」という一言ではとても表現しきれない。美しく、優雅で、力強く、それでいて愛らしいのだ。
ペンギンの泳ぐ姿は、まるで「水中を飛んでいるかのようだ」と表現されることがある。その仕組はこうだ。
カモや鵜など潜水するほかの鳥とは違い、ペンギンは翼を動かして水中を進み、足で方向を制御する。肩の関節が十分に回転するため、翼を前後に動かすことができる。他に同じ特徴を持つ鳥はハチドリだけだ。
出典:新しい、美しいペンギン図鑑/テュイ・ド・ロイ+マーク・ジョーンズ+ジュリー・コーンスウェイト、上田一生監修・解説
多くの鳥たちが空を自由に飛び回るように、ペンギンは水の中を自由に飛び回る。
八景島シーパラダイスのペンギン水槽は、人から見て手前側がプールエリアになっている。大きなガラス張りの窓のおかげで、ペンギンが泳いでいる様子がよく見える。
中でもジェンツーペンギンの潜水は非常に魅力的である。水中でスピードにのったジェンツーペンギンは、他のペンギンの間を縫うように泳ぎ、水上へのジャンプを繰り返す。急旋回も急浮上もお手のものだ。その一方で動くものを観察しながら、ゆっくりと泳ぐこともある。力強さと可愛らしさが見事に両立しているのだ。
水中飛行という特別なスキルを身につけて、ペンギンはより深く、より遠くへと狩りにでかけるようになった。
例えばキングペンギンは、水深50メートルほど潜って小魚やイカを捕る。その深さは、400メートルに達することもあるそうだ。水平距離について言えば、繁殖地から400キロメートル離れた場所に出向いて、狩りをすることもある。400キロメートルといえば、直線でだいたい都心から神戸までの距離と同じだ。ペンギンは潜水と浮上を繰り返しながら進むので、総移動距離はもっと大きい数値になるだろう。
8千種とも1万種とも言われる鳥の中で、これほどまで水中移動に特化した鳥は他にいない。水槽に近づいて羽の動きをじっくり観察するのもよし、少し離れた高台にある観覧エリアから写真を撮るのもよし。優美なペンギンの泳ぎを、その目にじっくり焼き付けて頂きたい。
浮遊するペンギン
潜水の達人であるペンギンたちも、ずっと水の中に潜りっぱなしというわけではない。例えばアデリーペンギンの潜水時間は2~3分、長くて6分程度だ。狩りの合間には流氷などに乗って休むこともあるし、水の上にぷかりと浮かんで、羽を手入れすることもある。自然界に比べ水深の浅い水族館では特に、水面を漂うペンギンを見かけることが多い気がする。私は、そんなペンギンたちを「半分ペンギン」と命名することにした。お腹側の半分を水の中に、背中の半分を水の外に出して浮かぶユニークな断面図がこちらだ。
ぽっこりと水中に出っ張ったお腹が、なんとも言えず可愛い。
ペンギンの漫才
水中では力強さや優雅さが際立つペンギンも、ひとたび陸に上がれば、別の一面が見えてくる。足の骨格は水中での飛行に特化した作りであるため、陸上ではヨチヨチ・ピョコピョコといった不器用なステップを踏まざるを得ない。傍目に見ると、まるで漫才コンビがコントを披露しているかのようだ。
《こちらはネタ合わせ中のペンギン。》
《鋭角すぎる突っ込みが入ることも! 》
もし鳥類漫才選手権があるならば、ペンギンが優勝するに違いないと、私は信じて疑わない。
ペンギンの写真を撮りたい方へ
早起きは三文の徳であり、ペンギン好きの徳である。一部のペンギンを除いて、ペンギンは概ね日中に活動的になることが多い。八景島シーパラダイスのペンギン水槽では、ペンギンの繁殖を目指して、照明の明るさを時間によってコントロールしている。1月に同施設を訪れた際には、午後4時くらいに照明がすっかり落ちていた。足下もよく見えないほど暗くなり、フラッシュを焚くのも厳禁なので、よほど性能のいいカメラでない限り撮影は不可能だ。ペンギンの写真を撮りたい方は、早めの時間帯に到着されることをお勧めする。
「ペンギンと一緒に写真を撮りたい! 」という方は、ふれあいラグーンに行かれるとよい。「フレンドリーサークル」というエリアでケープペンギンに触ったり、一緒に写真を撮ったりできる。ただし、鳥インフルエンザが発生すると、イベントは中止になってしまうので注意しよう。ペンギンの敵はアザラシとインフル、覚えておこう。
水族館の見所「おすすめベスト3」
八景島シーパラダイスの「水族館エリア」は、大きく分けて4つに分類できる。1つめはペンギンたちがいる「アクアミュージアム」、2つめはふれあいイベントが行われる「ふれあいラグーン」、3つめは自然の海を観察できる「うみファーム」、4つめはイルカたちが暮らす「ドルフィンファンタジー」だ。
それぞれのエリアに魅力と特徴があり、全てを語ることは難しい。ここでは3つのスポットに焦点を絞ってご紹介しよう。
●ウォーキングツアーで未知との遭遇
「ふれあいラグーン」で開催される「ウォーキングツアー」へ参加することは、世の中で最も有意義に500円を使う方法の一つだ。一日に何度か開催されるこの有償プログラム、参加するなら断然夜がいい。薄暗い闇に包まれて、動物たちの住処に潜入するワクワク感が倍増する。
ツアーはセイウチに始まり、アザラシ、オタリアの順に進んでいく。中でも陸上を高速で移動するアザラシの姿を見たときは、軽くめまいを起こしそうになった。水中で寝ているときや、陸に寝そべっているとき以上に、陸上を移動するときの可愛さは筆舌に尽くしがたい。ツアーにはカメラの持ち込みが禁止されているため、言葉で説明すると、ゴム風船でできた巨大な芋虫が、”タプンタプン” ”ピョンコピョンコ”と動いているかのようだ。
なになに、伝わらない? それならば、もうご自分の目で確かめて頂くしかあるまい。一緒に写真を撮り、あなたの手がアザラシの柔らかなしっぽに触れる頃には、すっかり彼らの虜になっていることを保障しよう。
●「海の動物たちのショー」下から見るか、上から見るか
大プールで繰り広げられる迫力のショータイム。出演者はセイウチに始まり、アシカやペンギンやイルカたちといった豪華なメンバーで構成される。人と一緒にダンスを踊ったり、背中に乗せて疾走したり、息のぴったり合ったパフォーマンスに観客は驚かされるばかりである。
しかし、こんなにも完成度の高い演技ができるのは何故だろう。その疑問に答えてくれる場所が「アクアホール」だ。役者が舞台袖で準備をするように、ショーに出演する生き物は水中で準備する。人の足裏を頭で押しながらプールの底に潜ったり、頭に人を乗せて浮上したり、水中でのきちんとしたフォーメーションがあってこそ、人と生き物は美しく宙を舞うことができるのだ。「アクアホール」では、ショーが行われている水中の一部始終を、大きなガラス越しに眺めることができる。観客席に座って上から眺める舞台もいいが、プールの下から見上げる舞台もまた非常に面白いのだ。
●ナイトラウンジ「Club“D”」でグラスを傾ける夜
夕刻の疲れたからだを癒すのにぴったりなのが「Club“D”」。バンドウイルカやイロワケイルカが暮す「ドルフィンファンタジー」の奥で、そのバーはひっそりと営業している。座席がないのが残念だが、優雅に泳ぐイルカたちを眺めながら飲む酒は、格別に美味い。ビールやワインやソフトドリンク、それにお洒落なカクテルなど品揃えは充実している。
イルカの水槽は2つあり、アーチ状の水槽にバンドウイルカ、円柱の水槽にイロワケイルカが暮らしている。特にイロワケイルカは、日本で3カ所(鳥羽水族館、うみの杜水族館、八景島シーパラダイス)しか飼育している場所がないので、是非チェックしていただきたい。
横浜・八景島シーパラダイスの基本情報
●ホームページ
http://www.seaparadise.co.jp/
●ペンギンの種類
キングペンギン
イワトビペンギン
マカロニペンギン
ジェンツーペンギン
マゼランペンギン
ケープペンギン
アデリーペンギン
ペンギン見分け方イワトビペンギンとマカロニペンギン、マゼランペンギンとケープペンギンを見間違わないように、見た目の違いを確認しておきましょう。
●営業時間
基本:10:00-18:30
土日祝日やイベント開催時には延長されます。
●料金
<4つの水族館を観覧できるアクアリゾーツパス>
大人・高校生:3,000円
小・中学生 :1,750円
幼児(4才以上):850円
シニア(65才以上):2,450円
※料金はチケットの種類や時期によって変動します。詳しくは公式サイトへ
※京急電鉄から期間限定でお得な割引チケットが出ている場合があります。
●お土産
一押しのお土産スポット:フレンディア
●アクセス
〒236-0006 横浜市金沢区八景島 横浜・八景島シーパラダイス
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