名古屋港水族館 (愛知)丨 南極のペンギンたち

      2016/10/14

いざ、日本の南極へ!ペンギンに会いにいこう

梅雨と夏の狭間の日、名古屋の空に広がった雨雲から小雨が振ってきた。不安定な天候が続くのは、季節が変わる前触れだということを私たちは知っている。もう幾日もすれば、30度を超す猛暑日がやってくるだろう。
天候や気温のちょっとした変化や、スーパーの軒先に並ぶ果物の種類、四季折々の歳時など、私たちは日常生活のあらゆる局面で移ろう季節を敏感に感じ取る。四季の移り変わりは、日本特有の現象に思えてくるほどだ。しかし実際は、世界の各地域にその場所特有の四季がある。全体の98%が氷床に覆われた南極でさえ、季節は変化するのだ。

南極観測船ふじ

名古屋港の南極観測船ふじ

名古屋港に停泊する南極観測船ふじ

南極の夏、そう聞いて正確にその情景をイメージできる人は少ないだろう。最も気温が上がるのは、12月下旬から2月にかけてで、日本と真逆のタイミングだ。夏の時期は気温が摂氏0度を上回る日が増え、本当に天候の良い日は10度くらいまで上昇するという。南極の夏は、日本の冬のイメージに近いかもしれない。

では、南極の冬はどんな様子なのだろう。残念なことにほとんどの人は、南極の冬を直に体感することはできない。南極には毎年3万人の旅行者が訪れるが、そのほとんどは10月〜2月、つまり南極の春夏シーズンにクルーズ船で上陸するからだ。
特別に訓練を受けた人間でなければ、生活することが不可能なほど南極の冬は厳しい。その厳しい冬を身をもって体験しているのが、南極観測隊の隊員たちだ。60名ほどで構成される隊員の内約半分は、最も厳しい冬の時期を南極で越す越冬隊員である。

南極への旅、世界で最も厳しい極地への旅は、いったいどのように行われているのだろう。名古屋港に停泊する巨大な船の内部で、その一端を垣間みることができた。
港でひときわ目を惹く鮮やかなオレンジの船。その名を「ふじ」という全長100mのこの船は、1965年から18年もの間、南極観測に貢献した。当時の姿がそのまま残っている船内に一歩足を踏み入れれば、まるで自分が南極観測隊の隊員になったような気分にる。今にも熱々の料理が出てきそうな食堂や、船室で囲碁に興じる若者たち。クルクルと回転する床屋の看板が掲げられた扉の奥には、髪を切ってさっぱりとした隊員の姿がある。非日常の中の日常が、陸から遠く離れた場所で暮らす隊員の心を慰めるのだろう。

南極観測船ふじの船内にある食堂

南極観測船ふじの船内にある食堂

無事に南極大陸に到着した隊員たちは、それぞれの任務に付く。自分の他に代わりのいない大切な任務だ。必要に迫られれば、ブリザードが吹き荒れる嵐の中でさえ、彼らは作業を行う。旅行客が増える夏場を除けば、国内外の越冬隊員以外ほとんど顔を合わせることはないだろう。
しかし、どんな極地にも生き物は生息する。吹雪や寒さに耐える知恵をつけ、繁殖を続ける強者たちが存在するのだ。そんな越冬のプロ集団を間近で見られる場所が、この名古屋港にある。

名古屋港水族館のペンギン4種

気温−2℃、水温−6℃の巨大プール。所狭しとペンギンたちが泳いでいる。

水温−6℃の巨大プール。所狭しとペンギンたちが泳ぐ。

「アー、アー、アー」と鳴く声が聞こえる。氷点下の世界。南極の日照データを参考にコントロールされている明かりが、館内をほの暗く照らす。この小さな南極は、名古屋港水族館の中にある。名古屋港水族館は、南極観測船ふじが停泊する場所の目と鼻の先に建つ。この水族館では、北の極地から南の極地に至るまで、様々な海を故郷に持つ生き物が暮らしている。日本では2カ所でしか見る事の出来ない皇帝ペンギンも、ここに暮らしている。

コウテイペンギン

ペンギン全18種類のうち、最も身体が大きいのがコウテイペンギン。南極の冬の過酷な寒さに耐えながら、そこで子育てをする。ずんぐりとしたフォルムは、マイナス60度以上に耐えられるようにするため。体の割に羽根やくちばしが短いのは、外気に触れる部分をできるだけ短くして熱を逃がさないためだ。その身体は、過酷な南極を生き抜くために最適な構造になっている。泳ぎは悠々として美しく、全身を覆う羽根が見事に水を弾く。

水中を泳ぐ名古屋港水族館の皇帝ペンギン

水中を泳ぐ名古屋港水族館の皇帝ペンギン

名古屋港水族館の皇帝ペンギン。体の割に顔が小さい。

体の割に顔が小さい皇帝ペンギン。

名古屋港水族館の皇帝ペンギン。ヒゲペンギンと井戸端会議。

ヒゲペンギンと井戸端会議

ヒゲペンギン

白黒の顔に特徴的なアゴのラインと、赤茶色のクリっとした目が印象的なヒゲペンギン。英語では、「チン・ストラップ=あごひも」と呼ばれる。南極大陸で初めて発見された種であることから、南極ペンギンと呼ばれる場合もある。見た目の可愛らしさとは裏腹に、気性は少々荒っぽい。水槽の中では、アデリーペンギンやジェンツーペンギンと喧嘩している様子が観察できた。

プカプカと浮かぶヒゲペンギン

プカプカと浮かぶ名古屋港水族館のヒゲペンギン

名古屋港水族館のヒゲペンギン

空を仰ぎ見るヒゲペンギン

人間に興味津津のご様子。寄り添って見つめてくる姿がたまらない。

水槽越しに寄り添う3羽のヒゲペンギン

アデリーペンギン

白い輪で縁取られた目が特徴的なアデリーペンギンスイカのペンギンなど、キャラクターのモチーフに数多く利用されている。水や空気から受ける抵抗をできるだけ少なくするため、流線型になって泳ぐ様子が可愛い。

気持ちよさそうに泳ぐ名古屋港水族館のアデリーペンギン

気持ちよさそうに泳ぐ名古屋港水族館のアデリーペンギン

名古屋港水族館のアデリーペンギン。岩場でちょっとひと休み。

岩場でひと休みするアデリーペンギン

首を伸ばすと…、ひょっとこみたい。

首を伸ばすと…ひょっとこみたい

ジェンツーペンギン

最も泳ぎの速い鳥として知られるジェンツーペンギン。急旋回・急浮上はお手のもので、水上へ軽々とジャンプする姿は見事だ。くちばしの大部分と足は、赤みの強いオレンジ色で美しい。好奇心旺盛な彼らは、水槽越しに動くものを見つけると、くちばしでつかもうとする仕草を見せる。

ガラス越しに動くものを追いかける名古屋港水族館のジェンツーペンギン

ガラス越しに戯れてくる名古屋港水族館のジェンツーペンギン

横顔が美しい名古屋港水族館のジェンツーペンギン

横顔が美しいジェンツーペンギン

気泡をなびかせながら泳ぐジェンツーペンギン。

気泡をなびかせながら泳ぐジェンツーペンギン

北極の海に暮らす生き物

愛らしいベルーガ

南極の最低気温がマイナス80度になる一方、北極の最低気温はマイナス37度前後に留まる。いずれにしても厳しい寒さに違いないが、そこに暮らす生き物の種類は大部分が異なる。北極周辺で暮らすのは、シロクマ(ホッキョクグマ)をはじめ、セイウチやシロイルカ、ホッキョククジラ、イッカクなど、南極の生物と比べると大型の傾向がある。
名古屋港水族館には、南極の他に北極のエリアが設けられている。わずか数分で世界の両極を移動できるのは、水族館ならではの楽しみだ。

北極で暮らす生物の中でも、特に人気が高いのがベルーガだ。つるつるとした真っ白な身体に、微笑んでいるような口元、優しい目。口から水の輪っかを出してくれることもあるそうだが、残念ながら今回は見られなかった。

水からひょっこり顔を出すベルーガ

水からひょっこり顔を出すベルーガ

2004年に国内で初めてベルーガの出産に成功した名古屋高水族館では、ベルーガの家族を見ることができる。最も大きなオスのベルーガ「ホドイ」は、体長3.75m/体重720kgにもなる。
ベルーガたちの公開トレーニングも是非見て頂きたい。口から噴水のように水を飛ばしたり、頭でボールを運んだり、可愛らしい仕草が盛りだくさんだ。

ボールを器用に操るベルーガ

ボールを器用に操るベルーガ

口から勢い良く水を飛ばすベルーガ

口から勢い良く水を飛ばすベルーガ

仲良しシャチの親子

黒い巨体が飛び出したかと思うと、ザバァという水音とともに水しぶきがあがる。一般的に冷水を好むシャチだがその生息域は広く、南極の海や北極の海の他、世界各地の海で目撃されている。ここ日本でも、北海道などで度々目撃されているという。
彼らに自然界の敵は存在しない。その類いまれなる知性の高さを武器に、群れで協力して狩りを行う。イカやペンギン、大きなものではアザラシやイルカ、ホッキョクグマ、クジラ、サメまでも、その餌食になるというから驚きだ。

名古屋港水族館のシャチトレーニング風景

名古屋港水族館のシャチトレーニング風景

シャチの口の中はきれいなピンク色をしている。

キレイなピンク色の口の中に、歯がぎっしり

トレーニングを積んだ名古屋港水族館のシャチは、トレーナーと接近しても問題はおこらない。ただし、自然界で彼らに出会ってしまったら最後。この頑丈な口に挟まれては、生き延びるのは難しいだろう。

名古屋港水族館(愛知)の基本情報

●名古屋港水族館のホームページ
http://www.nagoyaaqua.jp/

●名古屋港水族館のペンギンの種類
コウテイペンギン(別名:皇帝ペンギン・エンペラーペンギン)
ヒゲペンギン(別名:アゴヒゲペンギン)
アデリーペンギン
ジェンツーペンギン

●名古屋港水族館の営業時間
<名古屋港水族館>
通常:9:30~17:30
GW・夏休み:9:30~20:00
冬季:9:30~17:00
休館日:毎週月曜日 ※祝日の場合は翌日

<南極観測船ふじ>
9:30〜17:00

詳細は公式サイトへ

●名古屋港水族館の料金
大人・高校生:2,000円
小中学生:1,000円
幼児(4歳以上):500円
※夜間割引あり

詳細は公式サイトへ

●名古屋港水族館のお土産・グッズ
右)ジェンツーペンギンのマグネット。羽と足の繋ぎ目がバネになって揺れる。
左)温度計つきコウテイペンギンのマグネット

名古屋港水族館でおみやげに購入したペンギンの磁石。

名古屋港水族館でおみやげに購入したペンギンマグネット。

●名古屋港水族館へのアクセス
〒455-0033
愛知県名古屋市港区港町1−3

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