よこはま動物園ズーラシア(神奈川県)丨 フンボルトペンギン観察記

      2016/10/17

水中のペンギン、陸上のペンギン

緑の葉が生い茂る木々の下、動物たちがそれぞれの日常を過ごしている。水遊びしたり、お昼寝したり、仲間と戯れ合ったり、豊かな自然の中で過ごす自然体な動物達を目にすると、どこか遠くの森に迷い込んだ気がしてくる。

ここは、横浜にある動物園「ズーラシア」。アジアの熱帯林・亜寒帯の森・オセアニアの草原・中央アジアの高地・日本の山里・アマゾンの密林・アフリカの熱帯雨林・アフリカのサバンナといった地域・気候帯に分けて、8つの生息環境が再現されている。

換羽中のフンボルトペンギン

筆者がズーラシアを訪れたのは、気温が35度を越す真夏日のことだった。お目当てのフンボルトペンギンは、「亜寒帯の森」のエリアに暮らしている。フンボルトペンギンたちにとって、夏は試練の季節。年に1度、全身の毛が生え変わる換羽(かんう)のシーズンなのだ。ペンギンたちは、換羽の前に普段の2〜3倍の量餌を食べ、換羽中は絶食する。相当な体力消費の伴う換羽は、いわば命がけの衣替えと言っても過言ではないかもしれない。

ズーラシアのペンギンの中にも換羽が始まったものがいるらしい。岩陰から、全身の毛がもじゃもじゃしているペンギンがひょっこり顔を出した。日の光を浴びに出てきたのは一瞬のことで、すぐに木陰の涼しい場所へ避難していく。彼が新品の羽を手に入れるまで、もう少しの辛抱が必要だろう。

換羽中のフンボルトペンギン

換羽中のフンボルトペンギン

ペンギンたちの日常

プールの中を自在に泳ぎまわるフンボルトペンギン

プールの中を自在に泳ぎまわるフンボルトペンギン

換羽の終わったペンギンや、ペンギンのヒナたちが、広いプールの中で追いかけっこを楽しんでいる。息継ぎのために水面から一瞬ジャンプし、また水の中に潜っていく。ペンギンは水中飛行の名人なのだ。

しかし、陸上となるとどうだろう。
ある1匹のペンギンが、岩の上を行ったり来たりしている。水に飛び込みたいのだろうが、自分のいる岩の位置が高く、踏ん切りがつかないのだ。しばらくすると背後から別のペンギンが近づき、くちばしで”トン”とお尻を突いた。結果は、下の写真の通りである。

プールから上がろうと必死なフンボルトペンギン

プールへ落ちていくフンボルトペンギン

岩の上でくつろいでいるペンギン

突き落としたほうのペンギンは、岩の上でのんびり

陸上でバランスを崩した場合、一般的な鳥は飛び立って体制を整えればよいが、ペンギンたちはそうはいかない。しなやかな身体と丈夫な足で、急場をなんとかしのぐのだ。岩場や氷の上や離島のように、他の生き物が近寄りがたい場所を住処にするのも頷ける。
水中に飛び、陸上で転ぶ。水中と陸上でのギャップは、見ている私達を飽きさせない。この日も心ゆくまで、ペンギンを見つめて過ごした。

世界を巡る冒険の旅へ

ここからは、ズーラシアの中で特に印象に残った動物たちをご紹介する。

お尻をポリポリ掻くシロクマ

ペンギンプールの目と鼻の先に、小川の流れの中で涼をとるホッキョクグマ(シロクマ)の姿を見つけた。ここで筆者は、シロクマの珍しいポーズを目撃する。それがこちら、シロクマがお尻を掻く瞬間を捉えた写真である。振り向き様に「ボリボリボリ」。その背中には、人間のお父さんと見間違うほどの貫禄が漂っていた。

川の中で涼をとるシロクマ

川の中で涼をとるシロクマ

お尻を掻くシロクマ

お尻を掻くシロクマ

日本にいる動物たち

四方を山に囲まれた場所を故郷に持つ筆者にとって、日本の山里に暮らす生き物は幼なじみと同義である。
下の写真に写っているのは、ホンドキツネ。日本の各地で一般的に見られる狐だという。性質は用心深く、人が現れるようなところではしばしば夜行性になるという。久しぶりに目にしたキツネは、記憶の中のイメージ以上に愛くるしい顔をしていた。

草むらから顔を出すホンドギツネ

草むらから顔を出すホンドギツネ

双子のメガネグマ

やんちゃ盛りの喧嘩が、派手に繰り広げられている。本気か遊びか、本人たちもわかっていないかもしれない。互角の戦いなのもそのはず、2頭のメガネグマは昨年生まれた双子なのだ。2本足で器用にバランスを取りながら、”ワン、ツー”華麗なパンチが飛び出す。相手も負けじと相撲の張り手さながら、場外へ押し出そうとする。2頭揃って、強くたくましく育ってほしい。

中に人が入っていそうなポーズをとるメガネグマ

戯れ合う2頭のメガネグマ

神秘の動物オカピ

遠目から見たら、馬のようにも見える。後ろから見ると、シマウマのような模様がある。されど分類上は、キリンの仲間だという。そんな不思議な生き物が「オカピ」だ。

森の貴婦人との異名を持つオカピ

森の貴婦人との異名を持つオカピ

中央アフリカの一部の地域で生息しているオカピは、20世紀に入ってから初めてその存在が確認された。密猟の問題もあり、現在は絶滅危惧種に指定されている。ここズーラシアは、3世代の繁殖を成功させているというから驚きだ。
さすがは、「森の貴婦人」とも呼ばれるただずまい。足の模様は言うまでもないが、その目が非常に美しい。まるでアイライナーを引いたような粋な縁取りが、大きい瞳を神秘的にみせている。

瞳が美しいオカピ

瞳が美しいオカピ

アフリカのサバンナ

2015年の4月に新たに増設されたサバンナエリアは、東京ドームとほぼ同じ敷地面積を誇る。ここでは肉食・草食混合で、チーター・シマウマ・キリン・エランドの4種が展示されている。チーターは自分より大きい動物は襲わないため、広い敷地を生かしたリアルなサバンナを再現したというわけだ。

動物たちも来園者も自然体で過ごせる小さな世界、ズーラシア。是非もう1度、足を運びたいものだ。

「アフリカのサバンナ」で暮らすシマウマ&エランド

「アフリカのサバンナ」で暮らすシマウマ&エランド

よこはま動物園ズーラシア(神奈川県)の基本情報

●よこはま動物園ズーラシアのホームページ
http://www2.zoorasia.org/

●よこはま動物園ズーラシアのペンギンの種類
フンボルトペンギン

●よこはま動物園ズーラシアの営業時間
開園時間9:30~16:30(入園は16:00まで)

●よこはま動物園ズーラシアの入園料
大人(18歳以上):800円
中人(高校生):300円
小人(中学生・小学生):200円
小学生未満:無料
※よこはま動物園・金沢動物園共通年間パスポート 2000円

詳しくはこちら

●よこはま動物園ズーラシアへのアクセス
〒241-0001 横浜市旭区上白根町1175-1

 - ペンギン動物園

        

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