よこはま動物園ズーラシア(神奈川県)丨 フンボルトペンギン観察記

換羽中のフンボルトペンギン

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地域・気候帯別の8つのエリアに暮らす100種を超える生き物たち。「亜寒帯の森」のエリアには、自由気ままなフンボルトペンギンや、愛嬌たっぷりのシロクマが暮らす。日本屈指の広さを誇る横浜の動物園ズーラシアへ、世界を巡る冒険の旅に出かけよう。

大口を開けるフンボルトペンギン
水遊びしたり、お昼寝したり、仲間とじゃれあったり。動物たちがそれぞれの日常を過ごしている。

ここは横浜にある動物園「ズーラシア」。アジアの熱帯林や亜寒帯の森、アフリカのサバンナなど、地域・気候帯に分けて8つの生息環境が再現されている。異国の森に迷い込んだ気分になったのは、暑さだけのせいではなさそうだ。

亜寒帯の森

換羽中のフンボルトペンギン

換羽中のフンボルトペンギン
換羽中のフンボルトペンギン

ズーラシアを訪れたのは、気温が35度を越す真夏日のことだった。フンボルトペンギンは、全身の毛が生え変わる換羽(かんう)のシーズンを迎えている。自然界で生きるペンギンたちは、換羽の前に普段の2〜3倍餌を食べ、換羽中は水に入らず絶食する。常時餌にありつける動物園の個体でさえ、換羽中はグッと食事量が減る。ペンギンたちは、体力を奪われながらも忍耐強く年に1度の換羽を乗り越えていく。

全身の毛をもじゃもじゃさせた1羽が、岩陰からひょっこり顔を出した。あまりの暑さに耐えかねたのか、すぐに木陰の涼しい場所へ避難していく。彼が新品の羽を手に入れるまで、もう少しの辛抱が必要だろう。

水中と陸上のギャップ

プールの中を自在に泳ぎまわるフンボルトペンギン
プールの中を自在に泳ぎまわるフンボルトペンギン

一足先に換羽の終わったペンギンや、換羽前のヒナたちは、広いプールの中で追いかけっこを楽しんでいる。彼らはまるでイルカのように水上ジャンプを繰り返す。ペンギンは水中飛行の名人なのだ。

プールから上がろうと必死なフンボルトペンギン
プールへ落ちていくフンボルトペンギン

しかし、陸上ではそうはいかない。
ある1匹のペンギンが、岩の上を行ったり来たりしている。水に飛び込みたいのだろうが、岩の高さに足がすくんで踏ん切りがつかないのだ。しばらくすると背後から別のペンギンが近づき、くちばしで”トン”とお尻を突いた。結果はご覧の通りである。

岩の上でくつろいでいるペンギン
素知らぬ顔のペンギン

突き落としたほうのペンギンは、岩の上でのんびり休憩をしている。

陸上でバランスを崩した場合、一般的な鳥は飛び立って体制を整えればよいが、ペンギンたちはそうはいかない。しなやかな身体と丈夫な足があるとはいえ、ステンと転がることもある。
水中に飛び、陸上で転ぶ。水中と陸上で見せてくれるギャップは、見ている私たちを飽きさせない。この日も心ゆくまでペンギンを見つめて過ごした。

世界を巡る冒険の旅へ

お尻をポリポリ掻くシロクマ

川の中で涼をとるシロクマ
川の中で涼をとるシロクマ

ペンギンプールの目と鼻の先には、川で涼をとるホッキョクグマ(シロクマ)がいる。

と、次の瞬間…

お尻を掻くシロクマ
お尻を掻くシロクマ

「ボリボリボリ」。

その背中には人間のおじさん、いや、おっさんの貫禄が漂っていた。

日本にいる動物たち

草むらから顔を出すホンドギツネ
草むらから顔を出すホンドギツネ

田舎で生まれ育った私にしてみれば、キツネは幼馴染のようなものである。こちらは日本の各地で一般的に見られるホンドギツネ。性格は用心深く、人が現れるようなところではしばしば夜行性になるという。
小賢しいイメージが定着しているキツネだが、実際の顔はこんなにも愛らしい。

双子のメガネグマ

中に人が入っていそうなポーズをとるメガネグマ
戯れ合う2頭のメガネグマ

やんちゃ盛りの喧嘩が派手に繰り返されている。本気か遊びか、本人たちもわかっていないかもしれない。

互角の戦いなのもそのはず、2頭のメガネグマは昨年生まれた双子なのだ。足で器用にバランスを取りながら、ワン、ツー!華麗なパンチが飛び出す。揃って強くたくましく育ってほしい。

神秘の動物オカピ

森の貴婦人との異名を持つオカピ
森の貴婦人との異名を持つオカピ

遠目にはウマに見える。後ろ姿はシマウマのようだ。けれど分類上はキリンの仲間だという。そんな不思議な生き物が「オカピ」だ。

瞳が美しいオカピ
瞳が美しいオカピ

中央アフリカの一部の地域で生息しているオカピは、20世紀に入ってから初めてその存在が確認された。密猟の問題もあり、現在は絶滅危惧種に指定されている。
さすがは「森の貴婦人」とも呼ばれるただずまい。足の模様は言うまでもないが、特にその目が美しい。まるでアイライナーを引いたような粋な縁取りが、大きい瞳をより一層神秘的にみせている。

アフリカのサバンナ

「アフリカのサバンナ」で暮らすシマウマ&エランド
「アフリカのサバンナ」で暮らすシマウマ&エランド

2015年の4月に新たに増設されたサバンナエリアは、東京ドームとほぼ同じ敷地面積を誇る。ここでは肉食草食混合で、チーター、シマウマ、キリン、エランドの4種が展示されている。チーターは自分より大きな動物を襲うことはないため、広い敷地を生かしてリアルなサバンナを再現したというわけだ。

世界は広く、ズーラシアもまた広い。1日中歩き回ったものの、その全てを巡ることはできなかった。まだ見ぬ世界を求め、私はまたここに戻ってくるだろう。

 

Text:水鳥 るみ(フリーランスライター)

よこはま動物園ズーラシア(神奈川県)の基本情報

●よこはま動物園ズーラシアのホームページ
http://www2.zoorasia.org/

●よこはま動物園ズーラシアのペンギンの種類
フンボルトペンギン

●よこはま動物園ズーラシアの営業時間
開園時間9:30~16:30(入園は16:00まで)

●よこはま動物園ズーラシアの入園料
大人(18歳以上):800円
中人(高校生):300円
小人(中学生・小学生):200円
小学生未満:無料
※よこはま動物園・金沢動物園共通年間パスポート 2000円

詳しくはこちら

●よこはま動物園ズーラシアへのアクセス
〒241-0001 横浜市旭区上白根町1175-1

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