京都水族館|さぁさぁお立ち会い!ペンギンのご飯が始まるよ

      2017/06/02

京都の中心部を流れる鴨川

毎年のように京都へ来ては、ぼんやりと鴨川を眺めている。四条大橋の袂から眺める川の流れは、季節を問わず穏やかだ。橋の上や河川敷はいつも沢山の人で賑わっている。

「鴨川にいる生物は?」と地元の人に訪ねたならば、「カップル」と答えが返ってきそうだ。あるいは「酔っぱらい」と答えるかもしれない。鴨川の上で人は愛を語り、酔い、遊ぶ。川は人々の暮らしに寄り添い、暮らしの中を流れている。

京都水族館の外観

川の上での暮らしがあるように、川の中の暮らしもある。鴨川を上流まで遡れば、そこは国の天然記念物「オオサンショウウオ」の住処である。

2012年にオープンした「京都水族館」は、京都を流れる川の源流域を再現し、希少生物の保護や展示に力を注いでいる。山紫水明と讃えられる自然美を目の当たりにし、私たちはますます京都の虜になるのだ。

京を知って、ペンギンを知る

通り名とペンギン

京都の裏路地
風情ある街並みもまた、京都の魅力の1つである。東西南北に真っ直ぐ伸びた通りには、料亭や町家があまねく軒を連ねている。道はまるで碁盤の目のように、規則正しく美しい。地元の子どもたちは、通りの名をこんな風に数え唄にして覚えるという。

まる たけ えびす に おし おいけ ♪
あね さん ろっかく たこ にしき ♪ ……

観光に出かける前に通りの名を覚えれば、道に迷う心配がない。それともう1つ。ペンギン好きとしては嬉しいことに、通りの名を覚えれば、京都で暮らすペンギンの名前を同時に覚えることができる。

⇒京都水族館:ペンギンの名前一覧

大賑わいだよ「さあ、ごはん!」

京都水族館のペンギンプール

京都水族館には、2017年5月現在、72羽のケープペンギンが暮らしている。

丸太町通りの「まる」、姉小路通りの「あね」、仏光寺通りの「ぶっこう」というように、ペンギンにはそれぞれ、京都の通りにちなんだ名前がつけられている。

ケープペンギンの伸びのポーズ

整然と並んだ京都の通りとは対照的に、ペンギンはあちらこちらへ動き回る。
ときには予想外のポーズをとって、私たちを驚かせる。

ペンギンの個体識別用バンド

そんなペンギンたちを見分けるのに役立つのが、フリッパーに取り付けられたバンドである。バンドには2色の色が割り当てられ、オスは右に、メスは左につけられている。

特に餌やりの場面では、バンドでの個体確認が欠かせない。欲張って餌を独り占めしたり、餌にありつけないペンギンが出ないように、飼育員さんたちはいつも一生懸命なのだ。

飼育員さんを取り囲むペンギンの群れ

餌の時間が始まるとすぐ、飼育員さんたちは二手に分かれて行動する。ペンギンに魚を手渡す係と、どのペンギンが何匹食べたか正確に記録する係だ。

飼育員さんを追いかけるケープペンギン

餌を手にした飼育員さんの後を、大勢のペンギンたちがワラワラと追いかける。餌を奪い奪われ、フリッパーをバタつかせて大騒ぎするペンギンたちは、傍から見て大変ほほえましい。

人懐っこいペンギンの「しちじょう」

この日、餌やりの大トリを務めたのは「しちじょう」というメスのペンギン。飼育員に甘える姿がテレビで放送され、一躍人気者になったペンギンである。

餌をねだるペンギンの「しちじょう」

飼育員さんの後を全速力で追いかけ、岩場の高台へ躍り出た「しちじょう」は、観客全員が見つめる中でお魚をゴクンと丸呑みする。
「おしまい」の合図が出てもなお、その目は名残惜しそうに飼育員さんを見つめていた。

下から見上げるペンギンプール

餌やりが終われば、プールには平穏な日常が戻ってくる。ウトウトと眠そうなものもあれば、嬉々として泳ぎに出かけるものもある。

水族館内の海水は全て、人工海水によって賄われている。ペンギン専用のプールは深さがあり、海水がたっぷり供給されている。自然界さながらの水中遊泳の様子は、是非1階の観察エリアから眺めていただきたい。

番外編:京都水族館のおすすめ展示

イルカと新緑

京都水族館のイルカスタジアム

180度の大パノラマが広がるスタジアムに、4頭のイルカが舞っている。背景には梅小路公園の豊かな緑が広がり、木々の合間から寺院や鉄道が見え隠れする。

スタジアムが2階に位置していることもあり、プールから勢い良くジャンプしたイルカたちは、まるで森の上を跳んでいるかのようだ。

イルカライブ「聞いて音」

「イルカLIVEきいて音(ネ)」では、観客もイルカとのセッションに参加することができる。事前に配られた笛を音楽に合わせて「ブーブー」と鳴らせば、イルカはとびっきりのパフォーマンスで私たちに答えてくれるのだ。

ド迫力の大水槽

京都水族館の大水槽

京都の川が美しいように、京都の海もまた美しい。500トンもの人工海水を使用した大水槽では、そんな京都の海を忠実に再現している。

2階吹き抜けに設計された水槽には、数え切れないほど沢山の生き物が暮らしている。マイワシの大群や、エイ、サメなどが悠々と泳ぐ様は、いくら見ても飽き足りることがない。

水槽をぐるりと囲むように点在する小窓や穴といったビューポイントもお見逃しなく。岩の奥や海底の隅で、生き物たちとのワクワクする出会いがあるかもしれない。

里山に住むアイガモ親子

京都水族館の「京の里山」

京都水族館の屋外に「京の里山」というコーナーがある。昔ながらの棚田には、ときに予期せぬ来客があるようだ。

5月初旬のこの日、水田には仲良く泳ぐアイガモの親子がいた。毎年のようにこの場所に来ては、子育てに励んでいるらしい。コガモは全部で9羽。親にまとわりつくように、小さい足を懸命に動かして泳いでいる。

昔はこんな風景が、至る所で見られたのだろうか。生まれたての命を前に、守らなければいけない自然について、改めて考えさせられる。

自然を保護することは、何もそれほど難しいことではない。私たちの暮らしの中にあるものを、身近にある自然を大切にすることが、その第一歩なのだ。

 

Text:水鳥 るみ(フリーランスライター)

京都水族館の基本情報

下記の情報は、2017年5月現在の情報です。

●ホームページ
http://www.kyoto-aquarium.com

●ペンギンの種類
・ケープペンギン

●営業時間
通常:10:00~18:00 (最終入館は17:00)
※イベントや祝祭日などは、営業時間を延長する場合があります

詳細は京都水族館のホームページへ

●入場料金
大人:2,050円
大学・高校生:1,550円
中・小学生:1,000円
幼児(3歳以上):600円

※年間パスポート、提携きっぷなどのご案内は京都水族館のホームページへ

●アクセス
〒600-8835 京都市下京区観喜寺町35-1(梅小路公園内)

 - ペンギン水族館

        

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