無人島のペンギン|あわしまマリンパーク(静岡県)

      2017/04/25

淡島に渡る船

淡島に渡る船

午前10時、淡島へと渡る船の乗り場にはすでに先客がある。
彼らと私では、島に向かう目的が違うようだ。あわしまマリンパークは、沼津市を舞台にした「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地でもあるらしい。

私はラブライバーではないが、彼らの情熱と私の情熱は相通ずるものがある。私は、極度のペンギンラバーである。
さらに白状すれば、「無人島」という響きに無条件にロマンを感じてしまうタイプだ。無人島の水族館にペンギンがいると聞いて、胸が高鳴らないはずがない。

餌を待ちわびて

淡島の遊歩道

淡島の遊歩道

およそ700万年前に海底火山として誕生した淡島は、周囲約2.5キロメートルの小さな島だ。歩いて30分〜40分で島をぐるりと一周できる。
海と山の間の小道を風が通り抜ける。対岸からは船で3分しか離れていないものの、心なしか本土とは空気が違う。潮と土と草木の匂いがする。

音のなる方に魚あり!

あわしまマリンパークのフンボルトペンギン

耳をそばだてるフンボルトペンギン

島の道なりに歩けば、その道中で生き物たちと出会う。フンボルトペンギンが暮らす「ペンギンプール」は、館内入り口のすぐ脇にある。

ペンギンたちはのんびりしているように見えるが、決してボーっと立っているわけではない。その証拠に、ガサガサと音が聞こえると、一斉に音のする方に振り向く。

ペンギンの耳はどこにあるのかと、疑問に思う方がいるかもしれない。ペンギンの耳は、目尻の斜め下にある小さな穴で、普段は毛の中に隠れていて見えない。羽が抜け落ちる換羽の時期に、運が良ければ見ることができるだろう。

アピール合戦を制し、センターを確保せよ!

餌の魚を待つフンボルトペンギン

待つわ、私待つわ!

ペンギンがガサガサという音に反応したのは、飼育員さんの登場を待っていたからである。飼育員さんの登場は、すなわちお魚の登場を意味する。

午後12時15分、飼育員のお姉さんの後について、ペンギンたちがプールの外へと出てきた。ここからは、ラブライバーもびっくりの熾烈なポジション争いがある。

フンボルトペンギンの餌やり

お魚に届け、この思い!

「ペンギンにごはん」の参加者には、数匹のお魚が配られる。参加者は2箇所に設置されたバケツからそれぞれ魚をとり、どのペンギンにあげようかと思案する。

ペンギンたちは目を輝かせ、首を長くしてアピールする。頭一つ抜け出して、お魚をキャッチしようと必死なのだ。

新参者の子ペンギンは、なかなか前列に混ざることができない。みんなの周りをうろうろし、成鳥が咥えた魚を引っ張って、ようやく尻尾半分を奪ったりしている。「推しキャラ」ならぬ「推しペン」になるのは、そう簡単ではないのだ。

桜と舞うペンギンダンス

ケープペンギンの可愛いダンス

ケープペンギンの可愛いダンス

もう1種類のペンギンに会うため、「いきもの広場」へと移動した。ここには南アフリカを故郷にもつケープペンギンがいる。
みなが一様に木陰で涼んでいる中、若い1羽のペンギンが不思議な動きをしている。独特なステップを踏みながら、くるりくるりと回転し、何かを捕まえようと躍起になっている。よく見るとそれは桜の花びらだった。

桜の花びらを咥えたペンギン

桜の花びらを咥えたペンギン

満開を過ぎた桜は風に吹かれて舞い、散り、落ちて伏し、ペンギンは花びらを追いかけてダンスする。
何度目かの挑戦で、ペンギンは花びらをキャッチした。花びらは、ペンギンのくちばしの先端にぴたりと張り付いて離れない。

サーッと強い風が吹いて、ペンギンの興味は別の花びらに移ったようだ。

水族館マニア必見!おすすめベスト3

ひとえに水族館といっても、1つとして同じものはない。選んだ生き物に、その展示方法に、水族館の個性が現れる。最後に、あわしまマリンパークで特に印象的だった3つの展示をご紹介しよう。

●人懐っこいエイ

エイとのご対面

エイとのご対面

こんなにも可愛いエイに出会ったのは初めてだ。私が水槽に近づいた瞬間、「ピチョンピチョン」と音を立てながら一斉に集まってきた。

しかし、餌を持っていないことがバレると、すぐに私の人気は失墜した。意地になった私は一度その場を離れ、さも別人かのように再び水槽の前に立った。エイたちは水面から顔を出し、訝しげにこちらを伺っていた。

●日本一のカエル館

葉っぱでお尻を隠すカエル

葉っぱでお尻を隠すカエル

覗き込めばカエル、泳ぐのもカエル。緑、青、黒、茶…色も大小も様々なカエルたちがここにいる。あわしまマリンパークの「かえる館」は、カエルの展示種数日本一を誇る施設である。

沢山のカエルに囲まれて、ふと遠い昔の記憶がよみがえる。

私がまだ幼かった頃、雨上がりの庭にできた水たまりに、カエルが卵を産み付けたものだった。段々と水が干上がっていくにつれ、うごめく黒い塊が鮮明になった。干からびる運命のオタマジャクシをどうしても見過ごせなかった私は、水がなくなってしまう前に、彼らをバケツにすくい上げ川に放流した。道路にカエルが跳ねていれば、車にひかれないよう土の上に移動してあげた。

年配の方や、田舎に住んだことのある方は、似たような経験をお持ちではないだろうか。

いつの間にか都会暮らしが長くなり、もはや都心でカエルを目にすることはない。それでも、自然に対する愛情だけは忘れまいと自分の胸に誓うのだ。

●のびのびと泳ぐイルカ

バーを跳ぶイルカ

バーを跳ぶイルカ

海の一部を仕切ったプールで、イルカのショーが開催される。彼らはバーの上に跳び上がり、輪を拾い集め、尾を振ったりする。何度みてもどこでみても、「芸達者だなぁ」と感心してしまう。

海を泳ぐイルカ

海を泳ぐイルカ

しかし、イルカの魅力はその賢さだけに留まらない。あわしまマリンパークでは、自然の海という環境が、彼らの魅力を存分に引き出してくれる。水際で人間を観察しているかのような人懐っこさや、その柔和な表情にありのままの魅力がある。

生き物の日常に触れること、それは私にとって最高のエンターテイメントなのである。

 

Text:水鳥 るみ(フリーランスライター)

あわしまマリンパーク(静岡県)の基本情報

下記の情報は、2017年4月現在の情報です。

●ホームページ
http://www.marinepark.jp/

●ペンギンの種類
・フンボルトペンギン
・ケープペンギン

●営業時間
チケットオープン:9:30~17:00 (最終入館は15:30)

●船舶運航
9:35〜16:50

●入場料金
大人(中学生以上):1,800円
4才~小学生:900円

【あわしまマリンパックについて】
沼津駅を利用する場合は、バスの往復乗車券と入場料がセットになった「あわしまマリンパック」がお得です!

・大人:2,130円 (通常3,020円)
・子供:1,070円 (通常1,520円)

●アクセス
〒410-0221 静岡県沼津市内浦重寺186

 - ペンギン水族館 ,

        

スポンサーリンク

スポンサーリンク

  関連記事

プカプカと浮かぶヒゲペンギン
名古屋港水族館 (愛知)丨 南極のペンギンたち

名古屋港水族館には、小さな”南極”がある。水中温度は−6℃。館内をほの暗く照らす明かりの下で、ジェンツーペンギンを筆頭に、アデリーペンギン、ヒゲペンギンが飛ぶように泳ぐ。その後ろをゆっくりとコウテイペンギンが優雅に泳ぐ。まるで、自分がペンギン世界の住人になってしまったような気分だ。

フンボルトペンギンと一緒にハイチーズ!
下田海中水族館(静岡・伊豆)丨湾に暮らすペンギンたち

下田海中水族館は、U字型の湾の形状を巧みに生かした自然一体型の水族館。お魚をあげたり、一緒に写真を撮ったり、ペンギンとの思い出を作りに出かけよう。

鳥羽水族館のペンギン写真
鳥羽水族館(三重県)|ペンギン散歩を間近で見よう!

日本で唯一「ジュゴン」の飼育がされていることで有名な「鳥羽水族館」。その飼育数は日本一の1200種を誇る。フンボルトペンギンたちが暮すのは、ガラス張りの大プールが設置された水の回廊。沢山のペンギンたちが、プールの縁で羽をパタパタさせて来園者を出迎える。

image
サンシャイン水族館(東京池袋)丨 空飛ぶペンギンウオッチング!

サンシャイン水族館で人気のマリンガーデンが、2017年の春にリニューアルオープンする。野生のケープペンギンの暮らしぶりが、ビルの屋上に再現されるという前代未聞の試みに期待が高まる。東京の青空の下、ペンギンたちは草むらを歩きプールへと進む。その泳ぐ姿は、まるで空を飛ぶペンギンのように見えるという。

仲睦まじいフンボルトペンギンの家族
フンボルトペンギンの仲良し家族(静岡県)|伊豆・三津シーパラダイス

自然の岩窟を利用した住処で、家族団らんのひとときを過ごすフンボルトペンギンに密着!親と子の絆は強く、その愛は深い。まるで日本一の深さを誇る駿河湾海溝のように。

しながわ水族館のイルカコーナーのプロジェクションマッピング
しながわ水族館(東京)|ペンギンランドとイルカショーが必見

京急線の大森海岸駅近くにある「しながわ水族館」。元気いっぱいのマゼランペンギンやイルカやサメなど、沢山の生き物達が暮らしている。知名度はややマイナーだが、都内でじっくり生き物を観察したい人にとっては、穴場の水族館である。

ジェンツーペンギンとにらめっこ/うみの杜水族館
仙台うみの杜水族館(宮城県)|ジェンツーペンギンとにらめっこ!

仙台うみの杜水族館で暮すペンギンは、8種類と非常に多い。水槽に近づくと、ジェンツーペンギンが走り寄ってきた。水槽の奥では、キングペンギンの成鳥に混ざって茶色いヒナの姿が見える。

新江ノ島水族館で空に向かって鳴くフンボルトペンギン
新江ノ島水族館|ペンギンの個性を徹底解説【おすすめのショー】

江ノ島近くの海岸沿いというロケーションから、デートスポットとしても有名な「新江ノ島水族館」。ペンギンやイルカたちの可愛いショーや、クラゲの美しさが際立つプロジェクションマッピングなど、素敵なイベントを開催中。

人懐っこいペンギンの「しちじょう」
さぁさぁお立ち会い!ペンギンのご飯が始まるよ|京都水族館

京都水族館にいる72羽のケープペンギンをご紹介。餌を奪い奪われ、フリッパーをバタつかせて大騒ぎするペンギンたちのお食事タイムを見てみよう!

八景島シーパラダイスのジェンツーペンギン
横浜・八景島シーパラダイス|7種のペンギンと出会える水族館

「横浜・八景島シーパラダイス」で飼育されているペンギンは7種類!ふれあいコーナーやパフォーマンスショーも充実し、水族館と遊園地が一度に楽しめる夢のようなスポットだ。